春燈賞は昭和47年度から設けられた春燈における最高の結社賞であり、燈下集作家を除く春燈作家の中より、年間で最も顕著な作品活動を行った作者に与えられる賞です。
主宰の委嘱を受けた選考委員の推薦結果に基づき、主宰が決定します。
第53回(令和6年)春燈賞
阿知波公子

春燈賞(抄)25句 自選
嫁ぐ子へいつもの朝餉桃の花
囀に少しおくれて鳩時計
亀鳴くと言張る祖母に与したり
片ひざの車夫の肩借る春の夕
花時をふらりといなくなる漢
静かさや犬の耳立つ朧の夜
幼子のおとがひ並ぶ金魚玉
白シャツの風にふくらむ一輪車
教会を出て立ち話青葉風
紅さして少女駆けゆく祭笠
野立傘末席にゐる涼しさよ
丁寧にもの言ふ少女眉涼し
黙祷に秋の日傘をたたみけり
兄嫁に母の面影盆用意
白桃の種のこつんと自己主張
月光を挟みて母の手紙閉づ
月夜茸食べてしまへり夢の中
色鳥や童話館よりおばあさま
人待てば隣に僧や秋時雨
たちまちに「面」の一撃冬来る
電車よりおかめ降り来る一の酉
熱燗や大事な話あつた筈
三越前学僧ひとり悴める
担がれて信号を待つ聖樹かな
待春やふうらり入る帽子店
歴代受賞者
| 第53回(令和6年) | 阿知波公子 |
| 第52回(令和5年) | 西村 洋平 |
| 第51回(令和4年) | 辻 泰子 |
| 第50回(令和3年) | 農野 憲一郎 |
| 第49回(令和2年) | 田中 嘉信 |
| 第48回(令和元年) | 近藤 真啓 |
| 第47回(平成30年) | 持田 信子 |
| 第47回(平成30年) | 平沢 恵子 |
| 第46回(平成29年) | 永井 惠子 |
| 第46回(平成29年) | 荒井 ハルエ |
| 第45回(平成28年) | 齋藤 晴夫 |
| 第44回(平成27年) | 川崎 真樹子 |
| 第43回(平成26年) | 西岡 啓子 |
| 第42回(平成25年) | 小山 繁子 |
| 第41回(平成24年) | 藤原 若菜 |
| 第40回(平成23年) | 矢口 笑子 |
| 第39回(平成22年) | 片山 博介 |
| 第39回(平成22年) | 清水 美子 |
| 第38回(平成21年) | 竹内 慶子 |
| 第37回(平成20年) | 久本 久美子 |
| 第36回(平成19年) | 横田 初美 |
| 第35回(平成18年) | 荻野 嘉代子 |
| 第34回(平成17年) | 太田 佳代子 |
| 第33回(平成16年) | 小泉 三枝 |
| 第32回(平成15年) | 生田 高子 |
