今月の句

今月の先師の句

久保田万太郎

冬日さす愉しき柵のつづきけり
らんぎりのうてる間まつや若楓

今月の主宰の句

鈴木 直充(すずき・なおみつ)

旧正の卓袱台の裏拭きにけり
春の雪ちひさな声で呼ぶは誰
山々を雲の離れぬ雨水かな
山鳩のこゑや春眠浅く深く
かげろふを見失ひたる墓域かな

春燈誌 令和6年5月号より

燈下集の今月の推し

熊汁や酔へばシカリの口三味線園部 蕗郷
豆撒きて座れば横に鬼のゐて 三上 程子
永き日や天を支ふる鴟尾の金菅澤 陽子
マニキュアの跡そのままに寒明くる木村みどり
膝立つる羅漢の像や春動く大文字孝一
煮炊きして玄関掃きて建国日平沢 恵子
露地うらのそのまた露地へ猫の恋西村 洋平
春燈誌 令和6年5月号より

当月集の巻頭作品

阿知波公子

嫁ぐ子へいつもの朝餉桃の花
囀に少しおくれて鳩時計
走り来て水のむ音や猫の恋
春雷や四角く白き検査室
梅東風や頼みの絵馬のひるがへり
春燈誌 令和6年5月号より

当月集・春燈の句の今月の推し

制服の子にマフラーの自由あり井野 幸子
囀に少しおくれて鳩時計
走り来て水のむ音や猫の恋
春雷や四角く白き検査室
梅東風や頼みの絵馬のひるがへり
春燈誌 令和6年5月号より