鼓谺
淑気満つ加賀宝生の謡かな
加賀鳶や出初の纏に緋の刺子
ほろ酔ひや加賀万歳の腰鼓
花街や紅殻格子鳥総松
加賀は春百万石の闌りかな
朧夜や金糸彩なす加賀手鞠
うららかや箔打つ音の路地に充つ
雪解川友禅染める清と濁
加賀紋の蒔絵のみやび雛調度
行く春や衣桁をすべる加賀小紋
鮎の宿加賀の毛鉤の品定め
宝生の鼓谺や薪能
打水や拭き磨かれし加賀格子
天保元年創業「あめ屋」麻のれん
更待ちや白の浮き立つなまこ壁
秋めくや帳場の女将加賀訛
濁酒蒔絵の椀のじぶ煮かな
身に入むや藩の菩提寺自決の間
鵙鳴くや城跡示す石柱
武家屋敷土塀の菰の冬囲