銀杏の実
金色に光る画鋲や初暦
受験子のしきりに正す眼鏡かな
囀やシカゴ育ちの帰国子女
歓迎のゴム風船や彩とりどり
一言で終ふる挨拶若桜
夏雲や円陣の声沸き上がる
蛇口より直に飲む水蟬時雨
投げきつてガッツポーズの日焼かな
ビール注ぐ優勝杯になみなみと
教科書は線で真赤や法師蟬
涼新た標本箱の木のにほひ
有意差のつかぬグラフやちちろ虫
頑に持論は曲げず鬼やんま
月渡る研究棟に影ひとつ
焼そばのもやしたつぷり文化祭
キャンパスに談笑の輪や銀杏の実
今朝の冬百のマネキン口開き
短日やドリルで削る人口歯
マフラーを解くや遅刻の女学生
無礼講けふは焼芋日和かな