白鳥湖
ひとりに如かず白鳥を見る旅の
水尾を曳く大白鳥の序列かな
ヤマトタケルの裔の裔なり大白鳥
白鳥湖に今朝もハンチングの漢
五頭連峰指し白鳥の群いくつ
白鳥に乗りて会津へ向かはばや
雪原に落つ大白鳥の黒き影
つらつらと昼間は留守の白鳥湖
朝な夕な白鳥よぎる父祖の墓所
鈍色の空ゆ白鳥百も二百も
そこのけそこのけ大白鳥の着水す
親を呼ぶ子呼ぶ妻呼ぶ白鳥はも
歴とした一家族なり白鳥五羽
睦み合ふ白鳥雌雄定かならず
稚な白鳥純白にまだなりきれず
白鳥湖暮るるやひとり残されし
白鳥に執す朝駆夜駆かな
角巻のひと乗り合はせたり羽越線
雪深し越後の酒のことさらに
雪国の宿のハープの香に寝落つ