花火舟
朝からの花火日和や軒雀
膨れあがる町の人口花火の日
落ちつかぬ仕事の手はず昼花火
日暮るるを待つ間のながき花火舟
日の落ちて風とほり過ぐ浴衣かな
花火師の黒子に変はる薄暮かな
忍者めく花火師被るヘルメット
日盛りのぬくもり残す桟敷席
ビール注ぐ隣り合ひたる客同士
地酒酌む手許小暗き紙コップ
入魂一発今日に賭けたる花火かな
胃の腑まで貫く音や揚花火
天空の星にまぎれて花火散る
大花火空奪はれし夏の月
尺玉四十二発厄年払ふ花火かな
風下に火薬の匂ひ花火消ゆ
起承転結仕掛花火のドラマ果つ
打留を告ぐる空砲夜の秋
花火大会終へて川音戻りけり
人去りし河畔に深き虫の闇