藍浴衣
四代目の女主や切山椒
吉日におろす財布や梅ひらく
芽柳や心くばりのポチ袋
もてなし上手の絶やさぬ笑顔風光る
春しぐれ日髪欠さぬ女将かな
唐棧の裾みじかめに夏隣
店先のふるまひ酒や祭髪
花菖蒲女にもある侠気かな
藍浴衣気つぷがものをいひにけり
町内の稽古囃子や夕端居
夏足袋の齢をみせぬ立ち居かな
夏のれん裏も表も知りつくし
方便の嘘ゆるしけり秋扇
温め酒やんはりかはす艶話
秋袷筋目筋目をとほしけり
菊日和茶断ちの願をほどきけり
女手に守る家業や酉の市
半襟を一枚買ふも年用意
歳晩や贔屓役者を一幕見
寒紅にここぞの啖呵きりにけり